大司教は年代物のワインに口をつけ、四人の司教は料理をお腹に入れるのに夢中だ。彼らにとっては、これが当たり前の食事なのだろう。

(助成金だけで、こんなに贅沢な生活が維持できるものかしら?)

 ユーディト地区は観光客が少ない。主要産物が日持ちのしない『海の幸』と需要がない『マキャベルのお土産品』なので、他の地区との取引は活発ではない。

 助成金の他に資金源となるものがあるはずだ。

(ユーディト地区に来てから、一角獣を見ていないわね)

 研究所跡の周りは広い草原が広がっていた。一角獣が好きそうなのに、一羽も飛来していないなんて。珍しいというより異常だ。

「王女殿下、飲んでいらっしゃいますか」