ルルとノアは、研究所跡について説明してくれたおばさんの民宿に行き、部屋を一つとった。
 広さや付属品も十分で、ダブルサイズのベッドがある二人部屋だ。

 ルルはトランクから純白のドレスを引っ張りだし、パウダールームで着替える。

「アンジェラはいないから、お化粧と髪は自分でやらないと」

 ドレッサーに座って、鏡とにらめっこしながら化粧をはじめる。
 肌にはルースパウダーを付け、唇につけた赤は指でぼかして、控えめながら目を引くように。
 髪は上手く結い上げられないので、梳いて銀宝石のラリエットを飾ることにした。

 仕上げてパウダールームを出たルルは、騎士服姿のノアの腕に手をかけて、部屋を出る。そのまま階段を下りて、おばさんがいるカウンターを通った。
 おばさんは、めかしこんだ二人に驚いた。

「ドレスアップしてどうしたんだい。まるで舞踏会にでも行く王女さまみたいじゃないか」
「王女ですから、王女らしく見えていいのですわ」

「王女って……あんた、ルルーティカ王女なのかい!?」