【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!

 キルケゴールに近寄ると、甘えるように鼻先を押しつけてきたので撫でる。

「無理をきいてくれてありがとう。でも、困ったわね。追っ手がこれで諦めるとは思えないわ。どうやってユーディト地区まで移動したらいいのかしら……」
「それなら簡単だ。あたしに任せときな!」

 アンジェラは、客車からルルのトランクだけ下ろすと、青リンゴの屋台の隣でカーテンを掛けていた古着屋の主人に話しかけた。
 知り合いだったらしく、主人は快く試着室を貸してくれた。

 それから、ごそごそと着替えること十五分――。

 市場を出立した『ルルーティカ王女』を乗せた馬車は、カントを取り囲む城塞を抜けて荒野に出た。
 ツバの広い女優帽をかぶった王女の顔は見えないが、まっすぐ座席に座っているところを見ると、屋台に突っ込む事故で怪我はしなかったようだ。
 客車の後ろには、旅行鞄のほかに大量の青リンゴが積まれている。