肌色は薄ぼんやりとかすみ、手の平ごしに敷かれた絨毯の模様が見える。

「……尽くしすぎた」

 ノアは戒めのように口にした。
 けれど、ルルーティカを前にすると、特に彼女が弱った様子でいると、胸が切なくなって、手を貸さずにはいられないのだ。

「気をつけなければ。できるだけ長く、ルルーティカ様のそばにいるために……」

 手袋をはめ直して、他の騎士がいる待ち合いへと足を向ける。
 この体に異変が起き始めていることを、ルルにだけは知られまいと決意しながら。