ようやく手がかりを得られて喜ぶルルに、ヴォーヴナルグとアンジェラが、研究所跡への視察という名目で遠出してはどうかと意見を出す。

 事態を見守っていたノアは「客車の準備をしてきます」と言って、会話から外れた。
 控え室を出て扉を閉める。灯りもまばらな廊下は、ひっそりと静まっていた。

 暗殺者の気配はない。さすがにガレアクトラ帝国の王子が主宰のパーティーで、惨劇は起こせないということだろう。

 肘から先にしびれを感じて、おもむろに白い手袋を外すと、手が透けていた。