ノアがくれる言葉に、ルルは泣きそうになった。
 それは、ルルが父王からかけて欲しかった温情でもあるし、母から欲しかった同情でもあるからだ。

(ノアは気づいているのかしら、自分が無償の愛を持っていることに)

 ルルは、隠し持っていた金貨を一枚握りしめたまま、彼の胸に寄りかかった。
 これを渡してしまったら、この間柄が壊れてしまう。

 ルルは、ノアといつまでもこのままでいたいと願ってしまった。