「今のままで十分です」

 きゅうっと毛布を握りしめて吐露するルルに、ノアは、真剣な顔つきで詰め寄ってきた。

「たとえ魔力を使い果たしても、傷跡が残っていても、あなたはありのままで『ルルーティカ』王女です。あなたを貶められる人間など、この地上にはいません。そうでなければ、私は忠誠を誓ったりしません」
「ノアは、本当にわたしでいいの? いつも毛布に包まってる毛玉よ?」
「ルルーティカ様がいいんです」

 ノアは、動けないルルの前髪をあげて、額にキスを落とした。
 みにくい傷跡に触れる仕草は、まるで恋人にでもするように優しかった。

「信じてください。あなたが、あなたらしくあることで、道は拓けていくのだと。何があっても私がそばにおりますから」
「うん……」