面白くなさそうなのは、となりに座ったジュリオだ。
 長い前髪を手で払いのけて、運ばれてきた前菜に手をつける。

「修道院にお籠もりだって聞いていたのに、ずいぶん大勢つれてきたじゃないか。あれは何? 君のファンか何か?」
「わたしが聖王を目指すと知って、力を貸すと約束してくれた十人ですわ。戴冠したあかつきには、新たな聖騎士団へ入ってもらいます」
「ふうん。でも、僕は百人も軍人を連れてきているから、君の十人じゃかなわないよ。母国から呼べば、もっと来るからね」

 数で張り合いはじめた。子どもの喧嘩かと思いつつ、ルルは笑顔を崩さない。
 スープやメイン料理に手をつけるフリを続けながら、ジュリオを突っつかないように気を付けて受け答えする。

 食べ方もお行儀良く。
 参加者がいつルルの様子をうかがってもいいように、清純な王女らしい振る舞いを心がけて。

(気を抜くと猫背になってしまうそうだけど、今は我慢よ)