【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!

 ルルの兄、イシュタッド・テオ・フィロソフィーは、第七十六代の聖王として国を導いてきた。
 明るくて健やかで人に好かれる兄は、ルルが唯一尊敬している身内だ。

「失踪なんて信じられないわ。お酒に酔ってその辺のしげみで寝てるとか、お散歩がてら歩いていたら四十キロ先にいたとか、そういう行き違いではないの?」
「聖騎士が総出で捜索したので、その可能性はありません。というか、ルルーティカ様のなかの陛下像ってどうなっているんですか」
「だって、あのイシュお兄様よ?」

 イシュは、良くも悪くも鈍感だ。誤射されても矢が刺さっていることに気づかずに日常生活を送りそうな性格をしている。
 幼い頃から健康でやんちゃ。運がすこぶる良くて、殺しても死なない系聖王。それがイシュタッドだ。

「思わぬ怪我でもして、どこかで動けなくなっているのかもしれないわ。聖騎士団は、聖王に忠誠を誓っているでしょう。あなたも聖騎士なのだから、私のことは構わずにお兄様の捜索をつづけて」
「聖騎士はやめました」
「は?」