アンジェラの手で、頬に薔薇色のパウダーがはたかれ、まつげには星明かりのようなラメが絡み、ほのかに色づくリップが塗られる。
 控えめながら要所をおさえたメイクによって、ルルの表情にはじんわりと滲むような魅力が付加された。

「本当にすごいわ、アンジェラ。まるで別人になったみたい」

 ルルが身につけたドレスは露出が少ないデザインで、袖やスカートには透ける素材が重ねられている。ルルの銀髪とあいまって清楚な印象の装いのこれは、アンジェラが「絶対にこれがいい!」と見立ててくれたもの。

 彼女の美的センスのおかげで、たぐい稀なる美貌をもつルルーティカ王女殿下が誕生した。

(イブニングドレスや髪飾り、化粧品まで、けっこうな額を課金したけど、やった甲斐があったわね)

 儚くも美しいこれは、ジュリオ第四王子が主宰する晩餐会のための戦闘服である。