「人間てのは、本当のことはあんまり言わねえんだよ。素直すぎると敵ができる。主人を守るためにも気を付けろ」

 ヴォーヴナルグは先輩顔で忠告すると、ルルに視線を戻した。

「他に手伝えることはあるか? イシュタッド陛下が帰ってこなかったら、俺は聖騎士団を追われる身だ。今のうちに出来ることは何でもやってやる」
「ありがとうございます。実は、ここからが一番のお願いなのですが……」

 ルルの言葉が以外だったらしく、ヴォーヴナルグはぽかんと口を開けた。

「俺でいいのか?」
「団長がいいのです」

 ルルはにっこり笑って「準備して参ります」と部屋を出た。