「――と、いうわけなのよ。ヴォーヴナルグ聖騎士団長」

 ジュリオが主宰する晩餐会に出席すると決めたルルは、応接間でヴォーヴナルグと対面していた。
 キルケシュタイン邸にはじめて入った彼は、魔法で今にも崩れそうに見せかけている外観との違いに驚いていたが、ルルから事情を聞くとキリリと表情を引き締めた。

「ジュリオ第四王子とそっちを推してる枢機卿団に舐められない装備でのぞみたいってんだな。分かった。全面的に協力する」

「ありがとうございます。ご用意いただきたいのは、八名の人員です。ノアが身につけているのと同じ、黒い騎士服を仕立ててあるので、サイズが合う団員をお貸しください。当日は、わたしの護衛をしていただきます。報酬は後日お支払いします」

 ルルの斜め後ろに立って、手を背中で組んでいたノアは、さらに条件を付けた。

「金貨で雇われたと吹聴しない、口がかたい者をお願いします。黒い団服に興味がある者でしたらベストです」