教会への慈善訪問を皮切りに、ルルはカントの市場や博物館など、さまざまな場所にいって『ご立派なルルーティカ王女殿下』の姿を見せて歩いた。
 行く先々にあの記者が待ちかまえていて、魔晶石のライトで連写する。場数を踏んでいるので、カメラに微笑むのもすっかり慣れたものだ。

「……ふふふ、上手くいったようね……」

 自分の写真が掲載された新聞を読んでいたルルは、まるで悪役のようにニヤリと笑った。毛玉になっているので、卑しい表情は誰に見咎められることもない。
 
「思惑通りですね」

 デスクについたノアは、ルルがのった記事だけを、ハサミでチョキチョキと切り出している。

「記者の尽力により、ルルーティカ様が無能な引きこもりではないと証明できました。国民の人気もあがってきているようです。課金してよかったですね」