ルルの体の表面をビリビリと力がほとばしっている。ノアから魔力を分け与えてもらっていないにも関わらずだ。
 こんな事態は、あの事故以来なかったのに。

 軍人に抱えられたジュリオは「魔力を失ってなんかいないじゃないか!」と騒ぎ立て、マキャベルは眉間に皺を寄せてルルを観察している。

 アンジェラは、興奮した様子で「やっつけちまえー!」と拳を突き出し、その隣でノアは黙っている。いまいち感情の読めない視線に、ルルの胸がざわついた。

(ちがうの、ノア。嘘を吐いていたわけではないのよ)

 やがて光が収まった。
 ジュリオは、よほどびっくりしたのか、軍人に命じて馬車まで担いでもらい、足早に退却していった。追従するマキャベルは、物言いたげな表情をしていたが、ついぞルルに声をかけることはなかった。

「……魔力は、ないはずなのに」

 ぼう然とするルルに、守られた一角獣が顔をすり寄せてきた。
 パシャパシャという音が聞こえて振りかえると、教会の前にいた記者が建物のかげにいて、ルルーティカを激写していた。