「そんな子にも、近衛がいるなんて不思議だよ。聖教国にならって信者とでも言うべきかな。それとも、その男、ひょっとして恋――?」

 急にジュリオの声が聞こえなくなった。
 ルルの耳を、ノアが両手で塞いだからだ。

「??」
「――失礼しました、ルルーティカ様」

 手を離したノアは、威嚇するようなするどさで、ジュリオを睨んだ。

「ルルーティカ王女殿下に、無礼な発言は控えていただきたい」
「いっぱしの騎士きどりか。君がもちあげている聖女さまは、聖王にはなれないよ」

「なれないのは貴殿の方だ。ルルーティカ様は、心優しく素直で清らかでいらっしゃる。聖王にふさわしいのはこの方だ」