ルルは、孤児のなかでも特に幼い二人に左右の手を引かれて、中庭に出た。
 ノアとアンジェラも引っ張られていき、かけっこや鬼ごっこに興じた。

 子ども達のキャッキャと楽しげな声を聞いていると、心が安らぐ。
 政治的な争いの渦中にいることを忘れてしまいそうだ。

(お兄様もそうだったのかもしれないわね)

 ルルは、幼い二人といっしょに、白いかすみ草を摘んでブーケを作っていく。

「イシュお兄ちゃんはどうして来られないのかな」
「きっと風邪ひーたんだよ。一角獣みたいに」