子どもはルル達に気づいて近づいてくると、クリクリした目で見上げてくる。

「お姉ちゃん、だあれ?」
「みんな。この方はルルーティカ王女殿下ですよ。いつも来てくださっているイシュタッド陛下の妹君です」
「はじめまして。みなさん」

 ルルは膝を折ってしゃがむと、集まった孤児一人一人に視線を合わせた。

「今日はイシュタッドお兄様に代わって、みなさんに会いに来ました」
「じゃあ、お姉ちゃんがかわりに遊んでくれるんだ!」

 イシュタッドは訪問ついでに孤児との遊び相手もしていたらしい。
 ルルも遊んであげたいが、着てきた外出用のドレスと靴は動きづらいので、土のうえを走ったり隠れたりはできない。それを察したノアが前に出る。 

「ルルーティカ様、私がやります」
「大丈夫よ。この格好でも花摘みくらいならできるわ」