「市場づてに流した情報でしたが、記者が食いついてよかったですね」

 ノアは、閉じた門扉の隙間から表をのぞき見ている。
『第一回ルルをどうにかして王女っぽく見せる会議』のあと、すぐさま仕立屋に注文した騎士服を着こなす彼は、どこぞの国の王子様のようだ。

 金の飾り紐を横に渡したジャケットと膝上のロングブーツは黒く、左肩から下がるマントと留め具につけた宝石は、ルルの瞳と同じ青色。
 聖騎士団の制服だった白より、ずっと彼に馴染んでいる。

 似合っているのはアンジェラも同じだ。正々堂々とした剣士としての風格は、とても前職が暗殺者だとは思えない。

 たった二名の騎士団だが、王城から借りた客車とルルの体当たり演技の効果もあり、ルルーティカ王女が強固に守られている印象は与えられたはずだ。

(イメージ戦略は大成功ね)