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散々泣いた次の日。
私は朝早くから、学校近くの桜の木の下で待ち合わせ。
今でも、真斗くんの連絡先を消した事を思い出すと胸が苦しくなる。
だけどーー私は変わりたい。もう辛い思いしたくない。あんなに辛い思いするぐらいなら、他の代わりの人を見つけて、心の隙間を埋めたい。
桜が散って、木の枝だけになった桜の木を見つめながら、私は深呼吸をした。
ーー大丈夫。上手くいく。何とかなる。
ゆっくりと前を見ると、私を見てくれる人が近づいてくる。
「おはよー。杏里ちゃんー!!」
そう笑いながら走ってくるのは、私の「友達」梓くん。
「ごめん。待った?」
「ううん。全然。私も今来たところ」
私は普通を装った。本当は嘘。一時間前ぐらいにここに来ていた。
一緒にご飯を食べたあの日、私と梓くんは約束をした。
「学校の入り口ら辺に、桜の木があるだろう? そこで待ち合わせして、一緒に登校しない?」
そう切り出されたのだ。私はどうしようか迷っていたけれど、昨日のこともあるし、その約束に乗ってみることにした。
そしたら案の定、梓くんはイケメンだから……。
「あの女誰?」
「梓くん……趣味変わった?」
「そうゆう感じの女も好きなの?」
ーーなど、色々な言葉をかけられた。
「気にしなくていいからね。俺、杏里ちゃん一択だから」
梓くんは、私に優しく笑いかける。
やっぱり、こんな人が悪い人なんて思えない。
「うん。大丈夫だから」
優しい梓くんの笑みに段々と、元彼
真斗くんの事も忘れていきそう。
そんな時だった。廊下に差し掛かり、教室の前まで来た時だった。
私は嫌な汗をかいた。そして息を飲んだ。
そこには、壁に寄りかかっていた真斗くんの姿が見えたからだ。
心臓が高鳴って、思わず梓くんの手を強く握る。
ーーもうヤダ、何で、何で!!
これじゃまるで、ストーカーだよ。
無視していきたい。そうして梓の腕をしっかりと掴みながら、教室に入ろうとすると……。
「杏里ちゃん」
名前を呼ばれ、梓くんと私は立ち止まる。
梓くんの顔をチラリとみると、どこか蔑んだような、「お前なんか人間じゃない」と言ったような目をしていた。
私はそんな顔した梓を見て、全身が震えるようにゾッとした。
だってあんなに優しい梓くんがこんな顔するなんて、考えられないからだ。
「そいつ、幼馴染の友達不登校に追い込んだ奴だよ? いじめて、もう二度と学校には行けないぐらい追い込んだ奴だよ? 本当に良いの?」
私は振り向かない。振り向いたとして、どうなる?
きっと私は変わらない。今変わるチャンスを逃したら、きっとこの先もずっと逃げ続けると思うから。
「最後の忠告だからね。僕これ以上言わないからね」
「梓くん……行こ……」
私は梓くんの腕を引っ張った。
「……あぁ」
梓くんはそう言うと、私を肩から優しく抱きとめ、教室へ一緒に入ってくれた。
何も、聞こえないふりをして。
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