気がついた時には女の子を押し出し、車に轢かれる直前だった。
あっけなく私は死んだ。










はずなんだが、目が覚めると知らない天井があった。手をあげてみると小さく、起き上がることができなかった。私は思った。
え、赤ちゃんに転生した?
少し混乱したため、私は一度頭の中を整理した。
まず、前世の私の名前は藤沢沙羅。15歳で高校生になったばかりだった。小さい頃は両親と3人で暮らしていた。だが父は不倫し、相手女性との間に子供ができたことで、母と離婚した。その後は母と2人で暮らした。お金が無かったため、遅くまで仕事をしていた。母は、子供が苦手だったこともあり私に構うことがほとんどなかった。その影響か、家族の愛情というものが分からず、自分は邪魔な存在なんだと思っていた。死んだ日は高校に行く途中だった。小学生の女の子が横断歩道を渡っていた。その時に勢いよく車が近づいているのが見え、咄嗟に庇った。車に轢かれ、私は死んだ。ここまで育ててくれた母には申し訳ないと思う。少しはお金出たかな?それは置いといて、目が覚めると知らない天井。体はたぶん赤ちゃん。よくある転生だ。前世で人の役に立ったのはあの女の子を助けた時だけ。自分を犠牲にして助けたから、神様が新たな人生を送らせてくれた?とか

転生した理由は謎だったが、だんだん落ち着いてきた。理由が何にしろ、今度は誰かの役に立ちたい。そして自分を犠牲にせず、誰かを守れるぐらい強くなりたい、そう思った。
その時、部屋に誰かが入ってきた。
綺麗な白髪で緑色の瞳のおばあさんだった。
「あなたの名前はルーリアなのね。
ここで大切に育ててあげるわ。」
彼女は笑顔でそう言い、私を抱いてくれた。








転生して1ヶ月。分かったことがある。今いる場所はシラールナ孤児院。今の私、ルーリアはたぶん孤児院の前に捨てられていた。それに気づいた、ここの院長であり、最初に出会ったおばあさんシーラ院長が私を拾ってくれた。2度目の人生も家族には愛されなかったんだ。前世も今世も、居場所があるだけましかな。
もう1つ分かったこと。それは、この世界は日本があった世界とは違う世界、異世界だということ。食文化や服装、建築物など様々なことが違いすぎる。移動手段も車じゃなくて馬車で、どう考えても名前が西洋風。だけど言葉は分かるという不思議な感覚。
この国が何ていうかはまだ分からないが、その内分かると思う。もう少し成長したら、これからをどうするか考えよう。今はこの体だからとりあえず、寝ることに専念しよう。私はそう思い、眠りについた。