そして、週明けの月曜日。
「はあ~今日1限目から小テストとか最悪」
「英美里ちゃん世界史苦手だもんね」
「所詮暗記なんだし今からでもいけるって」
「そんなのさぁちゃんだからでしょ!」
偶然同じ便の電車に乗っていた2人と下駄箱で遭遇して、いつものように談笑しながら教室へ向かっていた。
「ねえねえ、そこの可愛いお嬢さん達!」
階段を上って丁度1年の教室が並ぶ廊下を歩いているとき、突然背後から声をかけられる。
「おっはよ~!今日も3人共可愛いね!」
思わず振り返ってみると、聞き覚えのある声の主は予想通り元気よく手を振ってくる菅原先輩だった。
朝早くからへらっと明るい笑顔全開の彼は、見ていてこちらも気持ちが良くなるくらい爽やかだ。
「菅原先輩、おはようございます」
「朝っぱらから1年の教室の方まで来るなんて何か用ですか?」
「へっへ~ちょっといい話があってね」
怪訝そうに尋ねる英美里ちゃんの質問に待ってましたと言わんばかりの表情で、エナメルバッグの中から何か取り出そうとしてくる菅原先輩。
いい話?わざわざ私達に朝から会いに来て伝えたいことって何だろう。
ごそごそと廊下の隅でエナメルバッグを漁る姿を眺めていると、菅原先輩は「あったあった」と1枚のプリントを取り出して自慢気に私達へ見せてきた。
「インターハイ県予選の組み合わせ表…?」
「そうそう!もうすぐ運動部の総体の時期じゃん?予選の相手と日程が決まったからこれは是非報告しなきゃと思ってさ」
「…え、それって応援来いってことっすか?」
「え!?来てくれんじゃないの!!丁度土曜日だったからいいと思ったのに」
その報告に紗英ちゃんが嫌そうに聞き返すと大袈裟に菅原先輩が驚いてみせる。