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校舎から出てくると、酷く疲れ切った様子の英美里ちゃん、紗英ちゃんと合流する。
結局2人はあの後菅原先輩と一緒に行ったらしく、ずっと騒ぎっぱなしで振り回されていたらしい。
「私らより怖がってて呆れたわ」
「逆に怖くなくなったね」
それで、そんな状況に疲れてのんびり進む2人とパニック状態の菅原先輩がいつの間にかはぐれて、偶然私達を見つけたというのがさっきまでのことらしい。
「…こんな奴置いて入りゃよかったのに」
「勝手に着いてきたんですよ!橘先輩がひぃちゃん連れて2人で行っちゃうから」
「それは悪かったわ、ごめん」
「そんなに申し訳なく思う程!?あ、俺2人にしがみついたりとかしてないから!そこは安心して!!」
「そういう問題じゃねえよ、お前と行くと迷惑なぐらいうるせえんだよ」
わいわいと騒ぐみんなを橘先輩の背後からぼうっと眺める。
みんなは肝試しのことでずっと盛り上がっているけれど、私はまださっき橘先輩が言いかけた言葉の続きが気になっていたから。
「ひぃちゃん、どうしたの?もしかしてホラー系苦手だった?」
考え込んでいると、ずっと話に入ってこない私が気になったらしく英美里ちゃんが心配そうに声をかけてくる。いつの間にかみんなに注目されていて、我に返った。
「ううん、ちょっと考え事してただけ」
「そう?」
「うん。…もう大丈夫」
ちらっと大好きな彼に視線を向けると、安心したような表情をする。
まだ私が不安そうにしていると思っていたんだろうか。そんな些細な仕草にも、思わずときめいてしまう。
もし、もし橘先輩が私と同じ気持ちで居てくれているなら。今私はこんなことで不安になっている場合でも、後ろを向きそうになっている場合でもない。
――――堂々と彼の隣にいられるようになりたい。
それは、ただ自分の思いが通じて欲しいとばかり願っていた今までの感情とは違う、彼自身のためでもある感情。
そのために、今出来ることは前を向くことしかない。そう強く決意した。
