「そういえば、全然脅かされませんね」
「……出てきにくいんだろ、人がいる気配はあるから」
「あっ……それは申し訳ないな」
ずっと橘先輩のことばかりで肝試しを楽しんでいなかったことに気づいたのも、丁度気が落ち着いた頃だったけれど。
***
「ウグァァアアア!!!」
「わっ、びっくりした」
「結構頑張ってるよな」
肝試しに集中しようと、橘先輩と2人で進んでいく。
楽しもうと思ったけど、どちらかというと私はこういうの苦手ではないみたい。確かにホラーとかあまり怖いと思ったことなかったけれど。脅かされるのも思っていたより大丈夫だった。
…なんだかお化け役の人達に申し訳ない。
「お前意外といけるんだな」
「脅かされるの苦手だと思っていたんですけどね。何処かから出てくるって分かっているからかな…」
というかよく考えたら、ここで怖がる方が可愛いよね。
上手く出来る人はその流れで抱きついたりとか腕組んだりするんだろうな…と考えてこの前の自分を思い出す。
あの時は何で積極的にいけたんだろう、今は全然いけそうにないのに。
「…もうこの前の件は大丈夫?」
そんなことを考えていると、ふと橘先輩は遠回しに聞いてくる。
大胆なことを言ってしまったことで頭がいっぱいだったけれど、そもそもあの時不安そうにしていたから橘先輩は抱きしめてくれたんだ、肝心な所はまだ心配かけたままだった。
