「待って」
「橘先輩、」
振り返ると、丁度すぐ傍に橘先輩の顔があってドキッとする。
距離、近い。そう考えると一瞬にしてまたこの前の事が頭に浮かぶから、恥ずかしくてこれ以上目も見れない。
「悪いけど緋那は貸して。俺と行くから」
「えっ……あ、はいどうぞ」
「ひぃちゃん頑張れ」
「え!!??」
ドキドキしてどうすることも出来ず、そのままつい固まってしまっていると、いつの間にか手を引かれて橘先輩に連れていかれる。
どうしよう、私絶対今日まともに顔見れないのに。抵抗しようにもする間もなく、流れるようにそのまま校舎の中へ入ってしまっていた。
