***
次の日、夕方にようやく帰った叔母さん達を見送ってギリギリ待ち合わせ時間に学校へ到着する。
グラウンドには多くの生徒が集まって、それぞれが楽しそうに談笑している。それぞれ友人通しでグループになって何かを待ち構えているようだ。
「ひぃちゃん!こっちこっち」
「ごめん、色々終わらせてたらギリギリになっちゃって…」
「急だったもんね。…で、なんすかこの集まり」
紗英ちゃんが訝しげに菅原先輩をじっと見るのに釣られて、私もそちらに視線を向ける。
その時ふと隣にいた橘先輩ともぱちっと目が合うと、すぐにこの前のことが脳裏に浮かぶ。恥ずかしくなってつい目を逸らしてしまった。
「肝試しだよ!毎年演劇部が夏休みに企画してて、校舎丸々使ってやってくれんの!行事が地味で有名な一高で唯一評判が良いんだよね」
「へー…」
といっても、友達や先輩からの口コミでしか宣伝していないらしく、ここにいるのは顔が広い人達ばかりみたいだった。
近所の中学校の夏祭りと日程を被せているから多少騒いでも今日は許されるし、演劇部OBも協力しているからまあまあクオリティも高いのだとか。
「っつーことで、せっかくならみんなで行きたいなって思ってたんだよね!」
「ん〜まあいいけど?」
「ここまで来たし行くしかないもんね」
「よし!じゃあ5人でレッツ」
「俺はやだよ」
「え!!?なんで!!」
ガシッと橘先輩の肩を組んだ菅原先輩が目を見開く。
「なんでってお前が騒ぐししがみついて離れねえからだよ!気色悪いからやだ」
「ええ、だって怖えししょうがないじゃん!女の子にしがみつく訳にはいかないしさああ」
「じゃあ入るなよ!」
「えええええ」
「私ら3人で入る?」
「そうしよ」
「そうだね」
必死に懇願する菅原先輩と、それに抵抗する橘先輩の争いは多分待ってても終わりそうにはない。
それに、ちょっと今は橘先輩とまともに顔を合わせられる気がしない。絶対にぎこちない態度になる。
今のうちに3人で入ってしまおう。そのまま3人で行こうとすると、急に背後から引き寄せられる。
