"京也には別に頼んでねえな。アイツはどんな時でも俺の味方するけど"
「(やっぱり玲央ちゃんは関係ないか…)」
この前一ノ瀬先輩から絡まれた件について、玲央ちゃんから私と橘先輩を別れさせる為に何か頼んでいるのかとどうしても気になって、玲央ちゃんに連絡をしていた。
けれど返信の通り、玲央ちゃんは関係なかったみたいだ。一ノ瀬先輩単独の行為だったのか、それにしても妙に突っかかってきたけれど。
"で、京也がなんかしたか?"
"ううん!この前妙に玲央ちゃんを勧められたから気になってただけ"
"そうか、じゃあやっぱりここは俺にしとくか?"
玲央ちゃんに"しないよ"とだけ返事をしてスマホを閉じた。各々スマホを眺めていた2人は、私がスマホを閉まったのに気づいて視線を向ける。
「そういえば明日デートだっけ?」
「うん。映画観に行くんだ」
「じゃあ明日告白するつもりね」
「えっ!そう、だといいな…」
橘先輩がどういうつもりかは分からないけど、そういうつもりだったらとてもうれしい。
とは言え実際約束した時は、玲央ちゃんに邪魔されて私が悩んでいたからご機嫌取りのつもりだったんだろうし、そこまで期待は出来ないけれど。
「ひぃちゃんからの報告が楽しみね」
「てかみんな橘先輩と緋那ちゃんがキスしたと思い込んでるから、休み明けはきっと大騒ぎだよ」
「えーそうかな…」
2人に散々冷やかされて恥ずかしかったけど、相手はあの橘先輩だ。
明日になったらケロッとしていつも通り私を弄んでいる姿が容易に想像つく。特にそういうつもりはないだろうし、期待はちょっとくらいにしておこう、と心に決めた。
