「おい」
「あのさ」
奴と同時に声をかけてしまって、つい舌打ちする。
まあ、どうせ考えてることは同じだろう。
「この後、少しだけ時間あるか」
「ああ。俺もそれ聞こうと思ってた」
こういう状況になった今、さすがに喧嘩腰じゃない状況でちゃんと話す必要がある。
それに関しては奴も分かっているようだった。
丁度今日は午前授業で、補講はもう終わっている。
だがさっきのように教室には結構残ってる奴がまだ多い。人が居ないところとなれば、視聴覚室だと橘が言うのでわざわざ3階まで上がってきた。
前から思っていたがなんでコイツこんなとこ知ってんだか。
「そういや…のんびりしてっけど部活はねえのか」
「休み。明日から盆休みだからもう部活も今日からやらないって」
「そうか」
返事すると、そこで会話は終わる。正直コイツと雑談する気が起きない。いきなり本題にいくのはやめとくかと思ったが、さっさと話した方が楽かもしれない。
「こんなこと言いたかねえが、俺が困らせたせいだよな。緋那が寝不足だったの」
「ああ。そうだな」
「お前…!ちっとは否定しろよ!」
「別にお前だけが悪いって言ってないだろ。俺も責任あるよ、実際神山にはっきりしてないし」
自分も悪いと思ってんのかよ、じゃあなんではっきりしねえんだ。今になっても答え出ねえならその程度だろ。
何を考えてんのかさっぱり分からない無愛想な顔を見てるとイライラしてくる。
