「……お騒がせしてすみませんでした」
でも逃げも隠れも出来ない、とりあえず玲央ちゃんに謝っておこう。あの場に居た1人だし。
先輩にもまた謝らなきゃな……何やってるんだろう、本当に。
「気にすんなって、寝不足もあったって言ったろ」
「とはいえやっぱり申し訳なくて…そういえば誰がここまで運んでくれたの?」
自分で来られなかったのだから、誰かが運んでくれたはず。
気になって確認すると、玲央ちゃんは不機嫌そうに眉をしかめる。
「…不本意だが運んだのはアイツだよ」
「え、アイツって…」
「橘だよ。俺が触ろうとしたら跳ね除けられた」
「え、」
「一応自分の彼女だからじゃねえのか。はっきり宣言してたしな」
機嫌が悪そうにしつつも、きちんと答えてくれた玲央ちゃんからの言葉に思わず戸惑う。
運んでくれるのは普段素っ気ないけど優しい橘先輩なら何となく想像がつく。
だけど玲央ちゃんが触れたら駄目な理由なんて…私がいつも玲央ちゃんに付きまとわれて困ってたから?
でも倒れた時まで気にする必要なんてないはず、意味なんかないのかもしれないけれどつい意味深に考えてしまいそうになる。
