「おい、離せよ……つーか、どんだけ力入れてんだ金髪ド変態！」
「あ゛？！誰がド変態だ、真剣に緋那を愛してるだけだよ！」
「好かれてもないのにいきなり抱きつく奴は充分ド変態だよ！離せって！」
「うっせえ、意地でも離すかっての」
「いった、」
言い合いを続ける中、ぐっと更に抱きしめられてつい声が漏れた時、「あっ、」と玲央ちゃんの腕が緩む。
今がチャンスだ、その隙に逃げて橘先輩の背後に隠れると、玲央ちゃんの舌打ちが聞こえた。
「また邪魔しやがって、緋那のことずっと放っておいたくせに。何なんだよお前、別に緋那のこと何とも思ってないだろ？じゃあ誰でもいいんだろ、なんでわざわざ緋那にこだわるんだよ。良いじゃねえか緋那じゃなくて」
悲痛そうにそう玲央ちゃんは訴えかける。
確かにここまでして私にこだわる理由なんてない、いくら多少は好意的に思ってくれていても玲央ちゃんに絡まれるし、むしろ損するだけなのに助けてくれている。
どう答えるつもりなんだろう、玲央ちゃんの訴えにも全く動じることのない彼を見上げて答えを待つ。
