「あああああ無くしてセンコーに貰ってきたばっかなのに!さすがにまたなくせないんだよ!」
職員室返りだったんだ、ヒラヒラ舞う書類はよく見れば手続き関係のもので。玲央ちゃんは必死になって、書類をかき集めている。
……なんか、1人でバタバタしてるなあ。
その姿を見ていると、子供の頃の泣き虫だった頃の姿を思い出して、思わずほっこりしそうになってしまった。
「はい、」
話の途中だし今はそれどころじゃないけれど、慌てる玲央ちゃんを無視する訳にもいかない。傍に落ちていた書類を拾って手渡した。
「ああ、ありがとな」
「いえいえ、これで全部?」
「おう、なんとか無くさずに済んだぜ。…で、なんだよ仲直りしちまったのか」
「う、うん」
「悪いかよ」
不服そうに問いかける玲央ちゃんについぎこちなく返事をする。
この2人、大丈夫かな…。交互に2人の様子を見てみたけれど、案の定雰囲気は良くない。
「橘先輩、さっきの件ゆっくり話したいのでやっぱり移動しましょう?」
「ああ、そうだな。場所変えようか」
橘先輩と玲央ちゃんは駄目だ、お互い相容れないものなんだと思う。
玲央ちゃんが来たことで気が変わったのか、あっさり納得してくれた橘先輩とその場を離れようとしたときだった。
「!?きゃ、」
「行くな、緋那」
一瞬背を向けた時、玲央ちゃんに腕を引かれて。
気がついた時には背後から抱きしめられていた。
