「チャンスじゃない!何処にいるか分かってるし行きなさい!」
「なんならこっから大声出したら呼べるんじゃない?呼ぼっか?」
「こ、心の準備が出来てないから!今は呼ばないで!」
「なんで駄目なのよ、そんなこと言ってたら一生仲直り出来ないわよ」
「そうだけど、私は結局どうすれば良かったのか、橘先輩が何が嫌だったのかはっきり分かってないの。それなのに、今のまま謝ったって何の意味もないよ」
どうしたら橘先輩にあんな顔をさせずにすんだのだろう、そればかり考えているけれど一向に答えは出ない。
自分が何か見えていないものがあるのかもしれない、でもそのなにかがはっきり分からないのにそれで仲直りなんて出来る気がしない。これが連絡出来ていない2つ目の理由だった。
「だったら直接話せばいいのよ」
「え?どういうこと?」
「通じてないわね、直接話して何が嫌だったか聞けって言ってるの。それでひぃちゃんもなんで自分が怒ったか伝えたらいいでしょ」
「直接聞く…」
「喧嘩の原因なんて、いくら想像した所で想像以上じゃないもんね。人の考えなんて分からないしさ」
英美里ちゃん、紗英ちゃんに言われてはっとする。
そうだ、どんなに私が考えたって本当に橘先輩が考えていることは分かりっこない。
それは本人に聞かなきゃ分からない、私の今の悩みは話さないと解決しないんだ。2人の話を聞いてようやく気づいた。
「ありがとう…2人共。そうだよね、直接話してみるよ。橘先輩と話して、絶対仲直りしてくる」
「その意気よ」
「頑張って」
よし、こうと決めたら行かなきゃ、先輩の元へ。
英美里ちゃん、紗英ちゃんに励まされて決意を決めた時だった。
