「で、橘先輩も怒ってるのかどうか分からないんだっけ?」
「うん。顔も見ないまま逃げてきちゃったから…」
「連絡もないんだよね?あの人もなんかよく分からないとこあるからな~」
「…きっと先輩も怒ってるんだと思う。私の無駄な気遣いにイラついてたから」
「じゃあ意地張ってないでひぃちゃんから連絡したら?向こうも連絡しづらいのよ。拗らせる前に仲直りした方がいいわ」
「……そうかも、だけど」
今は連絡したくない。ケロッと許せるほど自分の中で気持ちが整理ついていない。
「お、今日も教室にいたか」
「玲央ちゃん、…あれ?今日はもう来ないんじゃ」
「来ないとは言ってねえだろ?でも無理に触ったりはしねえから」
宣言通り傍にあった席に椅子1つ分くらい離れて座る。
…さすがにこれなら文句言えないし別に嫌って程ではない。仕方ない、受け入れよう。
隣で英美里ちゃんと紗英ちゃんは充分おかしいから文句言っていいって言ってくれるけれど、どうせ引かないだろうから諦めることにした。
「ったく、どうしたんだよそんな深刻な顔して。橘いねえし喧嘩でもしたか?」
冗談ぽく言う玲央ちゃんの言葉に、思わず何も返せない。
その態度を見て、図星だったと察したらしく。
「おうマジか!朝一緒に居たのに?へ〜そうか、そりゃへこむな!気にすんなって、そういう事もあるって」
嬉しさを全く隠しきれていないまま、一応慰めの言葉をかけてくる。
ちょっとだけムカつくかも…と玲央ちゃんに思ったけれど怒るのも面倒で、無視をした。
