恋人ごっこ幸福論





***



「あ~~なんであんなこと言っちゃったんだろう~!」



その日の昼休み、早速自分の発言に後悔していた。

あの後補講の間は、朝のことがずっと頭の隅にちらついていた。時間が経てば経つほど、自分が大人気ないことをしてしまったのではと思うようになってきた。

顔を見る気になれず、そのまま逃げてしまったから先輩がどういう様子だったのかも分からない。

でも彼だってなんとも思っていないはずはないだろう。

その証拠に玲央ちゃんのことがあってからよく教室まで来てくれたけど、今日はそんな様子もないし、特に連絡もない。



「……まったく、昨日の今日でなんでこんなことになってるのよ」

「昨日までは大丈夫そうだったのにね」

「お2人の仰る通りです……」



怒るつもりなんてなかったのに、一方的に余計なことをして機嫌悪くするなんて情けない。

…でも、はっきり言ってくれない橘先輩だって悪いんだと思ってしまう気持ちもやっぱりある。

自意識過剰かもしれないけど、玲央ちゃんを気に入らない理由に私のことがあるのならそう伝えて欲しかった。

先輩の態度について大抵のことは気にしないけれど、私だって、あまりにもはっきりしないなら怒る時はあるのだ。