「元々友達だし橘先輩からしたら変だと思うかもしれないですけど普通に友達として仲良く出来るならしたいですよ、難しいかもしれないけど」
「それって2人で出掛けたりとか?」
「先輩!?」
さすがに今日はあまりにもおかしい。本当に、どうしちゃったんだろう。
複雑そうに突拍子もないことを尋ねる橘先輩にもしかして、と思いつつはっきり答える。
「2人では出かけないです」
そう、とだけ返事をする彼は心ここに非ず、といった顔をしていた。特に何か言う訳でもない橘先輩がよく分からない、でもこれは勘違いじゃないと確信がもてた。
「やっぱり先輩困ってますよね?」
「え?」
「だって玲央ちゃんの件になるといつも煮え切らないというかちょっとイライラしてるじゃないですか。そんなに困ってるなら無理するのやめましょう、私は辛いけど…先輩の為なら我慢できるから」
そんなに嫌な思いをさせるくらいなら、これがいい。
玲央ちゃんが今日みたいにいつもしつこくしないでいてくれたらどうにでもなるけど、今まで駄目だったのだからきっと難しい。
この時、英美里ちゃん紗英ちゃんには気を遣い過ぎるな、そう言われたばかりだったことは頭から抜けていた。
「……だからそうじゃねえつってんだろ」
橘先輩は、はっきりそう言い切る。
声色は落ち着いているけれど、何処か苛立ちが込められているような気がした。
そして私をじっと見据えるとさらに続ける。
