特に、一ノ瀬先輩に言われた「私といると橘先輩は不幸になる」という言葉。

特別自分に自信がある訳ではないからか(むしろ無いけど)どうにも引っかかって、今も無理させてしまっているんじゃないかと疑ってしまうのだ。

でも、これは私のただの理想論だけど、それでも好きであるからこそ、彼には自分と居て幸せになって貰えるよう努力しているつもりだった。

一ノ瀬先輩の言葉の真意は今のことでは無さそうだけれど、とはいえ今の状況はやっぱり橘先輩にとって幸せかといえばそうでは無い気がする。

じゃあどうしたらいいんだろう、結局思考は振り出しに戻ってしまうのだ。


何かいい方法はないか、考えているとふと傍で私の様子を眺める2人と目が合う。



「そんなに心配する程のことじゃないと思うわよ」

「確信はないけどね」

「ええ…そ、そうかな？」



思ったよりあっさりした答えが帰ってきて、思わず戸惑う。2人はそんな私を宥めるように微笑むばかりだ。


「橘先輩は本人の言う通りそこまで気遣わなくても大丈夫よ。心配しなくてもひぃちゃんからは離れていかないわ」

「あたしもそう思う、てかいつも通りにしてあげな。先輩はそうして欲しいんだよ」

「…じゃあ、そういうことにしておく」



なんだか納得はいってないけど、2人がそう言うなら。一旦考えるのは保留にすることにした。