「…橘?お前何言ってんの」
私が何も答えられないでいると、代わりに菅原先輩が戸惑った顔で聞き返す。
橘先輩は、はっと気がついたように目を瞬かせて。
「変なこと聞いて悪かったな、忘れて。冗談だから」
「え…」
「とにかく、これまで通りでいいから。俺は別に大して気にしてない」
「分かりました…」
「神山は大丈夫?俺がアイツと仲悪いからって寧ろ気に病んでんだったらちょっと考えるけど」
まだ動揺しているのが伝わったのか、さっきより優しい声色で私の顔を覗き込む先輩に、首を横に振る。
「ううん、そりゃあ仲良くしてくれたら嬉しいですけど、相性もあるので仕方ないって思ってるので大丈夫です。…ゆっくり先輩と居られる時間がないのは辛いけど」
「そっか、まあ無理すんなよ」
「はい、大丈夫です」
心配かけないように笑ってみせると、先輩は納得してくれたような顔をした。
気にならないって言ったら嘘になるけれど、先輩本人がそう言うなら信じることにしよう。…大して気にしてないって言われたのは少し気になるけれど。
「俺らもそろそろ昼休憩終わるし帰るね。橘!行こう」
「ああ……そうだ、神山」
微妙な空気になったのと時間を気にしてか、菅原先輩と橘先輩が席を立った時。橘先輩は、何か思い出したように呟く。
