「あ~~もう本っ当に駄目だ私…」
何やってるんだろう、本当に。英美里ちゃんの言う通りだ、一々玲央ちゃんの言うことに惑わされなくたっていいのに。馬鹿正直なのを良いことに、玲央ちゃん自身に意識を向けさせようと振り回されまくっている。
「緋那ちゃん、今のは悪くないよ!元々八乙女友達なんでしょ?優しいから無視出来ないのは普通だって。な、橘?」
「え?あー…うん」
そういえば、さっきから何も言わなかった橘先輩に菅原先輩が話を振ると、歯切れの悪い返事をする。
「別に根に持つ必要はないんじゃない。何もやましいことしてる訳じゃねえだろ」
「そ、そうですけど」
「アイツと仲良くしたいかどうかもお前次第だし」
そう言うと、そっぽを向く橘先輩の様子が少しおかしいように見えるのは気の所為だろうか。まあ、玲央ちゃんのことはあまり好きじゃなさそうだし楽しそうにされるのは嫌なのかもしれない。
そう思いつつ、恐る恐る尋ねる。
「…橘先輩は玲央ちゃんが居るだけでも嫌ですか?」
「まあそうだな」
サラッとそう答える先輩に何も言葉を返せない。
やっぱりそうだよね、玲央ちゃんには私のことで毎日絡まれて大変そうだし。大分疲れてもいるのかもしれない。
