危ない危ない、あのまま流されていたら昨日と同じじゃない。別にだからと言って私の気持ちが変わる訳ではないけれど、簡単に流されていたら玲央ちゃんに隙があると思われるだけだもの。

その気は無いってきちんとアピールしとかなくちゃ、玲央ちゃんから背を向けると買ってきたカフェラテを開ける。



「別に変なことはしねえしそっぽ向かなくてもいいだろ?緋那」

「貴方がしつこくするからひぃちゃんも警戒するんです!少しは放っておいてあげてください」

「てか勝手に来ていつまでいるんすか?」

「うるせえなあ…じゃあそろそろ帰ってやるよ」



一連の流れを見ていた英美里ちゃんと紗英ちゃんが間に入ってくれたおかげで、玲央ちゃんもさすがに面倒になってきたのか立ち上がる。



「センコーにまた呼ばれてるし今日は帰ってやるよ」

「玲央ちゃん、また目を付けられるようなことしたの…」

「ちげえよ、2学期からの編入のことで面談」


それなら私のところに来ている場合ではないのでは…渋々行こうとする玲央ちゃんは、あ、と何か思い出したかのように呟いて私の方へ振り返る。



「別に俺は友達からで構わねえからな」

「え?」

「…気がついたらこっち見てくれてたら良いってことだ」

「……いや、だからそれは無いってば!」



まるで私が玲央ちゃんのことを意識していたかのように言う玲央ちゃんに必死に抵抗するけれど、そんな私の抵抗を気にも止めずに玲央ちゃんは手を振って行ってしまう。

背後では、「また流されてるわよ」と英美里ちゃんが呟く声が聞こえた。