「ったく、せっかく見せたいものがあったのに」
「見せたいもの?」
溜息をつきながらポケットの中から何かを取り出す玲央ちゃんに視線を向ける。彼が手に持つものを見て思わず、あ、と声を漏らす。
「お、気づいたか」
「え、うん。それって…よく玲央ちゃんが遊んでたゲームのキャラだよね?」
子供の頃玲央ちゃんと会った時に、いつも遊んでいたゲームがあった。私は隣から眺めていただけだけど、特にお気に入りだからっていつもキャラの技や強さについてよく玲央ちゃんが話してくれたから印象に残っていた。
「ああ、懐かしいだろ。緋那もこれなら分かるかと思ってな。最近昔流行ったゲームのグッズが良く出てるみたいだ」
「確かに最近子供の頃見かけたアニメやゲームのグッズ売ってるの見るかも…」
わざわざ持って来るぐらいだから、このゲーム知ってる人に見せたかったんだろうな。
嬉しそうに見せてくれる玲央ちゃんからキーホルダーを借りて、眺めているとハッと気づく。
なんかまた玲央ちゃんのペースに流されている気がする。
「こ、こういうもので釣っても好きにはならないからね!それとこれとは別だから!」
「分かってるよ、すーぐ警戒しやがって」
慌ててキーホルダーを返して、玲央ちゃんから離れる。何やってるんだ私は、自分がいた席へ戻ると玲央ちゃんは思惑通りだと言いたげに笑う。
