「そっか。自分でどう思うかは勝手だけど、俺にはどう見ても依存してるように見えたからごめんね」

「…もう私行きますね。失礼します」



もうこの人と話すのは止めた方がいい、このタイミングで教室に戻ろう。やっぱりこの人とは、これ以上関わらない方がいい気がする。

背を向けると、一ノ瀬先輩は一方的に話しかけてくる。



「君は初めて救ってくれた、自分を見てくれた橘くんだから欲しいものをくれる存在だから離したくないだけなんじゃない?
それなら玲央は境遇も理解出来るし好きなだけ受け入れてくれるよ。むしろ玲央も何処か君に依存しているし、良かったら考えてみて」

「間に合ってます!」

「…ま、それでもいいなら一緒にいればいいよ。橘くんが可哀想だと思うけどね」



これ以上一ノ瀬先輩の話を聞きたくなくて、思わずその場から走り出していた。

なんで、なんであの人にそんなこと言われないといけないの。

私はただ橘先輩が好きで、上手くいったらいいなって思ってて、チャンスをものにしようと自分なりに頑張っているだけなのに。



「(なんで…こんな気持ちになるんだろう)」



彼を縛り付けているような、幸せになれないような。

このまま気持ちを求めることへの罪悪感から目を背けた。