「どう?玲央とは」

「どうと言われましても…ちょっとしつこい、ですかね」

「そうなの?いいじゃない君に合ってると思うけどなあ」



合ってるかどうかは分からないけど、この人は玲央ちゃんのこと応援してるのかな。正直迷惑ではあるけどそこまでは言えない。



「うーん…でも私は好きな人がいるから。玲央ちゃんが悪いとかではないんですけどね」

「好きな人って、橘くんのこと?」

「え、はい…そうですね」

「俺は君には橘くんは合ってないと思うけどな」

「な、なんでそんなこと言うんですか!そりゃ橘先輩かっこいいし釣り合わないかもしれないけど「見た目のことはどうでもいいよ」


抗議しようとすると、そんなことはどうでもいいとでも言いたげに遮られる。表情はにこやかだけど、どこかイラついているように見えなくもない。その笑顔を見ると、これ以上何も抗議出来そうになかった。

私の反応を見て、一ノ瀬先輩は満足したのか続ける。


「俺が言ってるのは、人柄の話。彼が普通の優しい男だから合わないんだよ」

「橘先輩が普通の優しい人だから…?」

「うん。玲央の為にも橘くんと君のことちょっと調べさせてもらったんだ。橘くん、観賞用なんて言われてるけど普通に良い人だよね。何人かに橘くんのこと聞いてみたけど不器用な性格だから誤解されやすいみたいだけど彼は優しいって言う人も結構いたよ。…そんな彼だから君のことも助けたんだろうなって分かったよ」

「え、」

「去年の冬、神山さんが駅で自殺しようとしてたとこを助けたのが橘くんなんだよね」

「…な、んでそれを」