恋人ごっこ幸福論





「あっ、終わっちゃった」


夢中になって遊んでいると、あっという間にゴールしていた。ゲームの勝敗では負けたみたいだけど、気持ちとしてはすごく満足してる。


「やったことない割に上手いじゃねえか」

「本当?意外と楽しいんだね、こういうゲーム」

「だろ!今度あれやってみるか」


無邪気に目を輝かせながら別のゲームに行く玲央ちゃんは、本当に楽しそうで。

そういえば玲央ちゃん子供の頃に会った時も、いつも携帯ゲームを持っていた気がする。あの頃から好きだったんだろうな、夢中になっている彼を見ていると当時のことを少し思い出す。


お祖父ちゃんのお客さんの子供だから嫌われないよう気をつけて緊張してたこと、泣き虫だけど一緒に遊んでるときはいつもきらきらした笑顔を向けてくれたこと。

私は玲央ちゃんが誘ってくれる遊びに合わせてただけで何も面白いことも出来なかったのに、毎回楽しそうにしてくれてたな。…今みたいに。




「緋那、猫好きだったよな?」

「え、うん。玲央ちゃんに話したことあったっけ」


次のゲームも終えて再びゲームセンターをぶらぶらと歩いていると、玲央ちゃんに思い出したかのように聞かれる。


「子供の頃言ってたぞ。今も好きならじゃあこれやってみるか」


そうするとすぐに、丁度そこにあった猫のキャラクターが並ぶUFOキャッチャーを指差す。


「UFOキャッチャー?」

「緋那これもやったことねえだろ。手伝うからやってみようぜ」

「う、うん」



その後、玲央ちゃんにアドバイスされながらUFOキャッチャーをやって(何回しても取れなかったけど)その後もリズムゲームとか。

気がつけば時間が経つのも忘れるくらいゲームセンターで遊んでいた。