「ちょ、玲央ちゃん!止まって、止まってってば!」
猛スピードで駆けていく玲央ちゃんになんとか転ばないように必死についてきたけれどさすがに体力の限界がきて、必死に呼びかける。
「悪い悪い。ここまで来れば大丈夫だろ」
「きゅ、急に走り出さないでよ!私行くって言ってないよね!?」
「でも断れねえだろ?祖父ちゃん困らせたくねえから」
「う゛っ…」
そう言われて何も言い返せない。だからどうすべきか考えていたのに、そんな間もなく流されてここまで連れて来られてしまった訳だけど。
いつの間にか連れて来られた駅ビルを見上げて、ため息をついた。
「分かった…駅ビルの中のお店にしか今日は行かないからね」
「ああ、充分だ。そう警戒すんな」
「そりゃするよ...こっちは脅されてるもん」
「そうだな。でもそこまでするくらい俺は緋那とデートしたいんだぜ?」
すっとそのまま私の髪に触れようとする玲央ちゃんから、反射的に一歩下がる。バッグを盾にして玲央ちゃんを警戒していると、鼻で笑われた。
「まあ、そんなこと一旦忘れて楽しもうぜ。今日は本当に遊ぶだけだからさ。何もしねえよ」
「全然そんな気分じゃないけど…」
「そのうち気分も乗ってくるさ。で、早速行きたいとこあるんだけどそこでいいか?勿論この中にあるとこだから」
「分かった…」
ここまで来たら仕方ない、諦めて行くって決めたのは自分だ、ここは玲央ちゃんがどう仕掛けてきても乗り切ってみせなきゃ。
