このままだと玲央ちゃんに邪魔されずに橘先輩と2人でいられる日が当分来なくなる。
いずれは上手くいかなくなる可能性もゼロじゃない、だからそうなる前にすぐにどうにかしなくちゃ。
とはいえ日々考えても全く答えは出ないし、考えすぎて最近寝不足になってるし。気を抜くとつい欠伸が出てしまいそうになるのを抑えながら、2人と靴箱に向かう。
……そういえば、下校時間なのに玲央ちゃん来ないな。
いつもなら放課後になった瞬間来て着いてくるのに変だ、何か企んでるんじゃないかと嫌な予感がしていた時だった。
「緋那、今日の放課後俺とデートするぞ」
丁度私の靴箱の前で、どうやら待ち構えていたらしい玲央ちゃんと遭遇する。予感、的中してしまった。
「…家のことしなくちゃいけないから無理だよ」
「それは安心しろ。今日は俺に付き合うから無理だって緋那の祖父ちゃんには伝えてる。是非とも行ってくれって」
「えっ、お祖父ちゃんが!?」
なんでそんなあっさりと……そうか、玲央ちゃんは一応お祖父ちゃんからすれば大事な取引先の御子息だからなのか。
玲央ちゃんの一言だとあっさり許可されるという現実もなんだか複雑だけど、そんなことよりも今の状況の方がまずい。
「それでも無理だよ。橘先輩以外の男の人とデートしたくない」
「言うと思った。別に何もしねえし多少良いだろ」
「私の気持ちが嫌なの」
玲央ちゃんの思うようにはなるものか。ここで許可したらますますどうにもできなくなる。
