恋人ごっこ幸福論




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玲央ちゃんは、祖父の会社を贔屓してくださっている大手取引先 八乙女コーポレーションの御曹司だ。


私が7歳くらいの頃、彼の父親が開催するホームパーティに、何故か祖父に連れられて行った時に知り合って、その後何度か遊んだ記憶がある。


柔らかそうな金髪に、宝石のような大きな青い瞳。

肌も透き通るように白く、華奢で小柄な身体。

初めて会った時、この世に天使のような人って居るんだなって思った記憶がある。

凄く泣き虫で、背丈もあまり変わらなくて、とても可愛かったから、玲央"くん"じゃなくて玲央"ちゃん"って呼んでたんだっけ───


そんなついさっきまで忘れていた記憶を思い出すきっかけになった、目の前に座る彼をもう一度見る。


柔らかそうな金髪は、男性にしては長く肩にかかる程あり、その髪の間からはシルバーのゴテゴテしたピアスが幾つか見える。

宝石のような大きな青い瞳はよく見れば面影があるが、以前と比べてかなり鋭い目付き。背は私よりも30cm程高く、筋肉質で大柄な身体。



……この姿を見て、あの時の玲央ちゃんだと気付くはずがない。むしろ気付いた方が凄い。にっと私に明るく笑いかける玲央ちゃんに、苦笑いで返す。