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「すっっっっっごく良かったですね…」
「綺麗だったな」
「ですよね!!イルカショーでこんなに感激するなんて思ってなかった!」
イルカのジャンプや芸がプロジェクションマッピングに絶妙にマッチしたショーは、可愛いイルカの姿を眺めるだけだと思っていたショーとは違う、何倍も素晴らしいものだった。
橘先輩にも好感触だったようだが、それよりも。
「本当に素敵でした…初めて見たイルカショーがここのショーで良かった~…」
「すっげえ気に入ってんじゃん」
「はい、今日来てよかったです」
私自身がテンション上がってしまったから、どうにもこうにもならなくなってしまった。
…こうなるはずではなかったけど、これは仕方ない。
さっきから踏んだり蹴ったりばかりだけれど水族館デートはまだまだ続くから、今くらいはいいんだ。いいってことにしよう。
「期待どおりだったみたいで良かったな」
「むしろ期待以上です」
「そのようで」
…それに思ったより橘先輩のテンション、普通だ。
イルカショー見たらもっと大興奮するものだと勝手に思っていたけれど、個人差があるものなのか。
よく考えたらイルカショーで大興奮する橘先輩ってイメージつかないけど。やっぱり手強いな。
ショーを見終わると、今度は展示コーナーを見に行こうと、暗い照明の館内へと向かう。
