『遅い』
転校生は「ごめん」と言って、迷わず私を抱きしめてきた。
腕の中は、思った以上に暖かくて…
凍っていた私の体は溶けて行くようだった。
「寒かったな」
『寒かったよ』
「お前は馬鹿だよ。俺にこんな事したって、得すること一つもねぇぞ」
『一人で苦しむのは辛いよ』
「ずっと一人だから慣れてるよ」
転校生に抱きしめられたままだったから、表情は見えなかったけど…
その言葉は、
私とって、凄い重い言葉に感じていた…
1人がどれだけ辛いことか…
その言葉を言うのがどれだけ辛いことか…
私には計り知れなかった。

