ただ、それだけじゃなくて…もう一つ疑った光景が私の視界に入ってきた。
それは、キスしてくる瞬間の事だった…
私は、その一瞬を見逃さなかった。
『湊、笑った』
「笑っちゃいけないの?」
と、
とぼける湊。
いやいやいや、笑ってほしい!
この1年半の間、私が願い続けた光景…
『もう一回笑って』
「そう言われると嫌だ」
『笑った顔の方が好き』
「何だよそれ」
『笑って』
「笑わせて」
『ちゅしていいから』
「笑ってって言われて笑えるか?」
『笑えるよ』
「紗良やってみて」
と、
言われたから精一杯で笑ったら襲われた。
と、
言っても上に乗ってキスされただけ。
身体が痛過ぎて辛かったけど…幸せで、痛みも忘れてしまうほどだった。
『可愛い』
「紗良には負けるよ」
『湊、行かないで〜こっち来て』
と、
ベンチに移動した湊にベッドに座るようアピールしたけど「我慢できなくなりそうだからやめとく」と言われた。
妊娠中はご無沙汰してるし…
湊の気持ちもわかる気がするけど寂しい。
でも、何となく私の気持ちを察してくれたようで手だけ差し伸べてきた。
それだけで、今は満足。
私のわがままに答えてくれてありがとう。

