「紗良、ちゅしよ」
『立ったらいいよ』
「ちゅしてくれたら立つ」
と、
言われ…見事に負けてキスをしていたらチャイムが鳴ってしまった。
それでも、辞めようとしない奏。
離れようとしても、離れられず…私が諦めるしかなかった。
『もうやだ』
「また怒ったの?」
『怒ってないよ』
怒ったって仕方ない。
奏に勝てるものが一つもないとわかった瞬間だった。
嫌々、教室に戻っていた奏。
別の教室に行かなくてはいけないのは私も胸が痛いし、本当なら嫌。
これが一年と思うと、嫌気が指す。
解決策もない感じが、もっと嫌になる。
この先、大丈夫かな。

