ギュッと、痛いくらいに腕を掴まれた。

「来い」
見たこともないような怖い顔で、賢介さんは私を連れて歩き出した。



着いたのは、最上階のスイートルーム。
引きずられるように部屋に入ると、寝室のベットに放り投げられた。

「危ないことはするな!」
叫ぶような声。

賢介さんがどれだけ怒っているのかが分かる。

私は起き上がろうとして、賢介さんが上から覆い被さってきた。

そして、乱暴なキス。

私は抵抗しない。

賢介さんの動きが止まった。

「何で、勝手なことをした?陸仁と寝るつもりだったのか?」
答えられなかった。

「俺から離れる気なのか?俺はお前なしでは生きられないのに、お前に俺は必要ないのか?」
苦しそうに、悲しそうに、賢介さんは問いかける。

そんなことはない。
私もあなたが好きだから、たとえ陸仁さんに抱かれても助けられたらそれで良かった。
ただ、あなたを助けたかった。
でも、口には出さなかった。

「ごめんなさい」
ただそれだけ言って、目を閉じた。


すべて承知の上でやったこと。
だから、私は何も言い訳しなかった。

しばらくの沈黙の後、

「もういい。勝手にしろ。もうお前を束縛しない。好きなところに住んで、好きな奴と付き合えばいい。もう知らない」
そう言い捨てて、賢介さんは出て行った。

1人残された私。

一晩中泣き続けた。

分かっていたことなのに。
自分が選んだ事なのに・・・